「終活型」空き家対策ガイド 具体例
2025年07月15日
3. 具体策A 家族信託で“もしも”に備える
家族信託とは、所有者(委託者)が自分の不動産を信頼できる家族(受託者)に託し、管理や売却の権限を与える仕組みです。
成年後見と違い、本人が元気なうちから契約でき、判断能力が低下しても受託者が迅速に処分できます。
前橋市内の実例では、80歳の母が空き家を長男に信託し、母の生活費に充てることと、逝去後は売却益を3人兄弟で分ける条項を盛り込みました。
結果として母が入院しても長男が即座に賃貸借契約を結び、家賃収入で介護費をまかなえたのです。
4. 具体策B 老朽家屋を「負担ゼロ解体」へ導くコツ
築60年以上で再生コストが高い場合は、早期の解体が固定資産税の節約につながります。
前橋市の空き家対策補助金(工事費の3分の1・上限50万円)に加え、県の老朽空き家解体補助を併用できれば自己負担は50万円前後まで圧縮できます。
解体後の更地は月極駐車場や太陽光発電用地として地元企業と定期借地契約を結ぶと、固定資産税をまかなえる程度の地代が得られます。
実際に中央大橋通り沿いのケースでは、駐車場8台分で年間40万円の収入が入り、解体費を4年で回収できました。
5. 具体策C 「親子二拠点居住」で相続負担を軽減
相続を前提にするなら、早い段階で子世帯が空き家に週末滞在する“二拠点居住”を試してみる方法もあります。
住宅用地特例を維持したまま建物の傷みを抑えられ、近隣との関係づくりや将来の自宅利用の判断材料にもなります。
前橋市は移住体験補助として最大5万円を支給しており、水道・電気の復旧費用や短期滞在の交通費をカバーできます。
